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放課後は図書室で

第17章 約束のデート

「ホントに、成瀬さんは恥ずかしがり屋だよね。いつも顔が見えないよ。
二人っきりなんだから、そんなに下向いてなくてもいいのに…」


ホームに着いて立ち止まると、先輩は突然笑った。

明るく笑っている先輩の言葉だけど、そう言われて一気に顔が熱くなった。


そう言えばこの前もそんなことを言われたかも…。


真っ赤になっているだろう顔を上げる勇気がなかったけれど、隣から先輩のやさしい雰囲気が伝わってきた。


「ごめんごめん、変なこと言うつもりじゃなかったんだ。
せっかくだし、楽しもう」


ホームに入ってくる電車の音にかき消されそうになる先輩の声とともに、手が握られた。

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