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足跡

第12章 怒り


落ち着くまで賢は綾香を抱き締めたまま背中を擦った


「……あ…ぁの後…

そういう関係だった人と…

別れ話をしに会ったら……
縛られて…………」



賢の手の動きが停まった


『!!』

―表情は観れないけれど
明らかに同様している―

綾香がその事に

気づかないわけがなく



勇気を振り絞って震えた声をだした




「ホテルに………

…連れてかれちゃって…」


賢が
急に今までに聴いたことない大きな声を出し綾香の声を書き消した

『もういい!!!』




「…!!……」


『もぅ……ぃぃょ……』

次の賢の声は
泣きそうな小さな声に変わっていた


『もう…二度と……


絶対に…そいつには


逢わないで…
お願いだから………』



賢は苦しそうにそう言った



腕の中でコクリと頷く綾香……



賢はスッと抱き締めていた綾香を離し肩を抑え、
綾香の目を見つめた……
綾香はビックリして思わず下を向くと賢が冷静に少し強い口調で

『こっちを向いて。。
正直に話して!』


恐る恐る涙目で賢の目を見る綾香……

『この話はコレで最後だ!

本当の事を教えて!

綾香ちゃんがそいつとしたくて、そいつの元に行ったんじゃないよね??
別れ話をしに行ったんだよね?』




「…ぅん……」



返事と共に大粒の涙が
綾香の目から
又一粒又一粒と流れ落ちる


賢は綾香の頭を撫でながら『もう会わないって、
何かあったら俺に相談するって
約束してくれる??』



「………ぅん……」





賢は
何も言わず綾香を再び自分の懐に抱き締めた



そのまま 綾香が落ち着くまで一緒に過ごし家まで送り届けた…



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