君と×××。
第1章 x兄と私x
学校にはギリギリ間に合った。
そのまま授業を受けて放課後に。
途中まで友達と帰り、
その後ばったり会ってしまった兄と
2人並んで歩く。
同じ家に向かうのに
別々に帰るのも変だったが
一緒に帰ったって会話もなく、
逆に違和感がある。
「…お兄ちゃん」
「…なんだ?」
「…あの本のこと……なんだけど…」
「…おぅ…」
「やっぱいいや。…家に帰ったら言う…」
「…おぅ…」
自分が嫌な空気を作ってしまったことに
ちょっと落ち込む。
が、それでもちゃんと前を向いて
ぴしっと背筋を伸ばしながら歩く。
身長が低い分、
猫背にならないように心掛けている。
やがて目的地に、
自分たちの家に着いた。