
幼なじみ
第1章 幼なじみ
「ぶっ…っははは!」
前方から聞こえてきた笑い声に勢いよく振り向くと、電柱の陰に座り込み、大笑いしている幼なじみが居た。
「…翔、居たのかよ」
「ひっひひ…真尋の慌ててる顔おもしれー!」
―――この、端正な顔をくしゃくしゃに歪ませて笑いまくっている奴は、俺の幼なじみ、蕪木翔(かぶらぎかける)。
こいつは、さっき俺が眺めていた立派な家に住んでいる。
前髪をピンで留めた、薄茶色のサラサラな髪、まつげの長いぱっちり二重の瞳に、高く通った鼻。
チャームポイントは、右目にある泣きぼくろだろうか。
モデルといっても普通に通用しそうな程の完璧なルックスを持つこいつは、俺の親友だ。
