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アルカナの抄 時の息吹

第2章 「塔」正位置

掃除に切りをつけて昼休憩に入ったとき、あの金髪の青年を見つける。ちょうど王の間から出ていくところらしい。声をかけようかとも思ったが、ふとその前に見覚えのある少女を見つけた。

あ…この子は。

“奴隷”とされ、ひどい扱いを受けていた女の子が、廊下の隅にひっそりと立っていた。彼女は粗末な食事の乗ったプレートを手に、遠くを見つめている。視線の先を追うと、先ほどの金髪の青年。

…はは~ん。なるほど、そういうことね。

あたしはなんだか、甘酸っぱい、青春時代の懐かしい気持ちを思い出した。自ずと頬が緩む。頑張れ、と心の中で応援すると、あたしはそっとその場を後にした。





           第二章 完

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