アルカナの抄 時の息吹
第5章 「恋人」正位置
中心から少しずれたところに、人差し指を軽く突き立てる。つつ、と服の上を滑らせ刺激していくと、王がくぐもった甘い声をもらした。だが指は、王の一番触れてほしいところには、一切触れてくれない。
「う……」
もどかしそうに、王がうめいた。
「ほしい?」
意地悪く笑むあたしに、王は素直にうなずく。
望み通り、膨らみをなぞるように指の腹でたどれば、気持ちよさそうな声が聞こえてくる。もっと…もっと聞かせて。中指と親指も使って、王の一番喜ぶ場所を愛撫する。
やがて、はたと手の動きを止め、熱のこもったそれの上に、中心が重なるように股がった。
「今夜は…我慢しなくていいわよ」
顔を近づけ、しっとりと呟いた。本当か、と王が聞き返す。コクリとうなずくと、王は腕をつかみ、あたしを胸に引き込んだ。
あたしの頭を片腕で抱き込み、重ね合う腰にもう一方の腕を伸ばす。片脚をあたしの両脚に絡め、勢いづけてゴロリと転がり、再び上下が換わる。
「本当にいいんだな?」
一度始めたら止められないぞ、と覆い被さる王が確かめるように言う。そんな王への返事の代わりに…軽い口づけ。にこりとすれば、王も優しく笑む。
愛してる、と何度も言いながら、唇を、身体を重ね合わせる。互いのすべてを共有する。夜明けに近づくにつれ、二人の愛は、鎮まるどころかさらに燃え上がった。
第五章 完
「う……」
もどかしそうに、王がうめいた。
「ほしい?」
意地悪く笑むあたしに、王は素直にうなずく。
望み通り、膨らみをなぞるように指の腹でたどれば、気持ちよさそうな声が聞こえてくる。もっと…もっと聞かせて。中指と親指も使って、王の一番喜ぶ場所を愛撫する。
やがて、はたと手の動きを止め、熱のこもったそれの上に、中心が重なるように股がった。
「今夜は…我慢しなくていいわよ」
顔を近づけ、しっとりと呟いた。本当か、と王が聞き返す。コクリとうなずくと、王は腕をつかみ、あたしを胸に引き込んだ。
あたしの頭を片腕で抱き込み、重ね合う腰にもう一方の腕を伸ばす。片脚をあたしの両脚に絡め、勢いづけてゴロリと転がり、再び上下が換わる。
「本当にいいんだな?」
一度始めたら止められないぞ、と覆い被さる王が確かめるように言う。そんな王への返事の代わりに…軽い口づけ。にこりとすれば、王も優しく笑む。
愛してる、と何度も言いながら、唇を、身体を重ね合わせる。互いのすべてを共有する。夜明けに近づくにつれ、二人の愛は、鎮まるどころかさらに燃え上がった。
第五章 完