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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠

 その瞬間、紗英子の心も決まった。費用の問題もある。直輝が何と言うか―恐らく真っ向から反対するに違いない。
 だが、やらねばならない。紗英子は自分のためにこの世に生まれ出ようとしていた生命を犠牲にしたわけでもないし、一度ですら妊娠したことはない。それでも、何としてでも子どもを持ちたいという熱意は誰にも負けはしなかった。
 紗英子はすぐに自室からノートパソコンを持ってきて、早速立ち上げた。海外へ渡るというのは最終的な手段にするとして、紗英子にはある考えがあった。

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