テキストサイズ

Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第6章 【後編】 ♦RoundⅤ(覚醒)♦

 三十六歳で晩年のことまで考えているといえば、他人は笑うだろう。しかし、そんな呑気なことが言えるのは守ってくれる夫がいて、老後を託せる我が子がいる幸せな女たちだけだ。有喜菜の場合は夫も子どももいないのだから、たとえ誰に何と言われようと、老後に安心して暮らせるだけの貯金は必要なのである。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ