
Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「先生はまだ何も言わなかったけど、予定日は今年ぎりぎりくらいかしら。来年ってことはないでしょうね」
早くも赤ん坊が生まれる日にまで想いを馳せ、浮き浮きとした調子で言う。有喜菜は相槌を打つでもなく、何の感情も感じさせない瞳を湖面に向けていた。
「有喜菜?」
紗英子は不安げに有喜菜を見た。どうしたのだろうか、気分でも悪いのだろうか。
これからは有喜菜には今まで以上に身体に気をつけて貰わなければならない。無事にお腹の赤ん坊が出てくるまでは、何があっても彼女には無事でいて貰う必要があった。
言ってみれば、出産さえ終われば、別にどうでも良いのだ。有喜菜が大切な我が子をその胎内で育てている間は、万が一のことがあっては困るのである。
有喜菜はわずかに眼をまたたかせ、紗英子を見た。
「別に礼なんて言う必要はないわ」
「そう? でも、今回のことは何と言っても、あなたに頑張って貰わなければならないのだし」
あまりにも冷ややかな反応に、紗英子は怯んだ。
早くも赤ん坊が生まれる日にまで想いを馳せ、浮き浮きとした調子で言う。有喜菜は相槌を打つでもなく、何の感情も感じさせない瞳を湖面に向けていた。
「有喜菜?」
紗英子は不安げに有喜菜を見た。どうしたのだろうか、気分でも悪いのだろうか。
これからは有喜菜には今まで以上に身体に気をつけて貰わなければならない。無事にお腹の赤ん坊が出てくるまでは、何があっても彼女には無事でいて貰う必要があった。
言ってみれば、出産さえ終われば、別にどうでも良いのだ。有喜菜が大切な我が子をその胎内で育てている間は、万が一のことがあっては困るのである。
有喜菜はわずかに眼をまたたかせ、紗英子を見た。
「別に礼なんて言う必要はないわ」
「そう? でも、今回のことは何と言っても、あなたに頑張って貰わなければならないのだし」
あまりにも冷ややかな反応に、紗英子は怯んだ。
