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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦

 最近、紗英子はいつも直輝の顔色を見てばかりいる。おどおどとして、それが余計に直輝の癇に障り腹立たしく思えるのだった。
 一度、噛み合わなくなった歯車は努力して直そうとしても、余計に噛み合わなくなるばかりだ。少なくとも、紗英子の方は、直輝とうまくやろうと努力していることは直輝にも判る。
 しかし、今更、それが何だというんだ。
 俺はすべてを知ってしまった。
 この女の醜い本性も、思慮に欠ける浅はかさも。
 今日という日は、あまりにも色々とありすぎた。
 蒼褪め震えている妻を後に残し、直輝は疲れた身体と心を抱えて一人で寝室に向かった。

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