テキストサイズ

Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~

第4章 ♠RoundⅢ(淫夢)♠ 

 私ったら、何を考えているの?
 数時間の中にあれほど烈しく抱かれ、幾度も絶頂を迎えたにも拘わらず、淫らな自分の身体はもう貪欲に反応している。紗英子は自分が急に見知らぬ淫乱な女になったような気がした。
 そういえば、と思い出す。直輝と口論して淫らなおぞましい夢を見た朝も、こんな風に秘所がしとどに濡れていた。もっとも、今、自分の秘所が濡れているのは自分の愛液だけでなく、直輝が幾度も放った精が混じってはいるのだろうけれど。
 あのときの夢に出てきた女のことが妙に気になった。あれは自分だったのだと無理に納得しようとしても、心のどこかで違うと言い張る声がする。別にどうでも良いことだと言えば言えたが、何故か気になってしまうのは自分でもおかしかった。
 直輝はいつしか腹ばいになっている。紗英子がぼんやりとしている間に、取ってきたものか、火を付けた煙草をくわえていた。
 紗英子はゆっくりと身を起こした。直輝の視線が露わになった乳房に注がれている。そのまなざしにまだ情事のときの熱さと衰えることのない獣じみた欲望を感じ取って、紗英子は頬を赤らめた。慌て上掛けを引き上げ、胸許を隠す。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ