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恋愛短編集

第3章 王子とメイドの戯言




「え、えっと…それは…その…」




『言っておきますけど、私は今まで愛だの恋だのという類のものと無縁で生きていますからね。
他のメイドに聞いたほうが絶対に参考になりますよ?』




「い、いいんだ!
大人の意見というものを聞きたかったんだ!」




『大人の意見ですか…。
年齢的には私もそこまで大人という年齢ではありませんがね。
ところで、どうしてそんな疑問をお持ちになったのです?』




「父上がよく"国民を愛せよ"って言うんだが、"国民に恋せよ"とは言わないんだ。
二つとも同じような言葉なのにおかしいだろ」




『いかにもお子様らしい疑問ですね』




「俺はもう十歳だ!
お子様なんかじゃない!
…大人はそんなこと気にしないのか?」




『言われたら気になりますけど、自分からその考えに至ることはおそらくないと思います』




「そうなのか…」



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