恋愛短編集
第5章 母さんのオムライス
もう逃げない。
優しく包んであげるって決めたんだ。
母さんと2人で必死に生きていこう。
父さん、俺を母さんを捨てたあなたを恨みます。
でも、それだけです。
俺達はこれからも必死に生きていきます。
姉さん、今までありがとう。
姉さんの分まで俺、頑張るよ。
母さんをちゃんと守っていく。
だから心配しないで。
目の前にあるこの扉を開けば母さんがいるはずだ。
俺は左腕で花束を抱き、右手は白い紙を握りしめる。
それはあの日梓から受け取った未来の希望表。
未来なんていらないって思ったけど…今はそうは思わない。
梓や母さん、大切な人達とちゃんと生きていく。
そのための未来の希望表…ちゃんと書かなきゃな。
またあのオムライスが食べれるように…
俺は扉を開けて進路希望調査表を握りしめ、母さんに会いに行った。