楽しいプール
第29章 電話で
9:03
先生に言われた
時間を過ぎた。
私は行くのを
止めた。
時間は少しずつ
動いていく。
先生からも
連絡はこない。
暗い部屋、1人
静かに時がたつのを
待っていた。
トントン―――
『お母さんよ』
「……なに?」
『万年筆が玄関に落ちてたんだけど、パパのじゃないみたいだからこの間先生が来たときに落としていったのかも知れないわ。今度先生に会ったら渡しといてね』
ドア越しでママが言う。
『ここ置いておくわね…』
ことん
ドアの前にママが
万年筆を置く音がする。
………万年筆?
私、聞いたことある…ッ
私は暗い部屋から
飛び出て万年筆を拾い
階段を駆け下りた。
階段の下で丁度ママと
すれ違う。
『ちょっと!どうしたのッ?!どこいくのよ!』
「如月公園までッ!!!」
私は靴を履き
行きよいよく玄関を飛び出た。
…頑張れ、自分。