理想の男の子
第11章 新しい関係
「秋、お待たせ!」
「おぉー、いちご遅かったね」
秋はたい焼きを頬張りながら
少し口が汚いが優しく微笑んだ
「ごめん、ちょっとねぇ…」
「何なにー?」
秋が食べかけのたい焼きを
おそらくお店で買ったときに渡された
たい焼きがいくつも入っている袋に
しまってそう聞いた。
「…喧嘩した」
「ふーん」
まるで他人事のように秋は空を見た
「で、誰と喧嘩したの?医者?」
「…」
少し言うのを戸惑った
秋はじっと私を見た
「ようへ…彼氏と…」
「彼氏?誰…?」
「同じ病室のようへいさん」
それから秋にいきさつを話した。
秋は頷きながらしっかり聞いてくれた
それが嬉しくて、安心して
秋が居てよかったなと改めて思った。
「いちごはどうしたいの?」
「仲直りしたいよ…?でもどう謝ればいいのか…どう話しかければいいのか…根本的に怒ってて話しさえ聞いてくれないかもしれないし…」
「まっ あたしなら直接謝ってこれからどうするのか話し合うけどねっ」
パパッとスカートをはたく秋は
身だしなみを整えた。
「…秋…」
真っ直ぐな生き方に私は感心した。
「いちご、話があるんだけど」
「何?秋」
「あのさ…」