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チェーンな2人

第2章 もう、お別れなんて…

彼女は
なかなか離れようとしない

俺だって嫌だよ
でも、もう時間なんだ




強く
でも優しく
俺から
彼女の体を引き剥がし
手を握ってやった







今にも泣きそうだな…









ターミナル内の
待合室へと移動した


俺も彼女も
静かに時計を見つめていた


どちらも
あまり話さない


刻々と迫る
別れの時間に


すべての思考を
止められているみたいだ











時間は止められない

あっけなく

サヨナラの時間は

訪れた













俺が椅子から立つと


彼女は繋いだ手を引っ張り


行かないで


と言うような顔をした


俺が困った顔をしたら


あきらめたのか


ゆっくりと


立ち上がった












俺だって

この手

はなしたくないんだ




きっとお前よりな

















軽く抱きしめ

耳もとで囁いた



『じゃ、またな』



お前は静かにうなずいて

笑顔なのか

泣き顔なのか分からない

複雑な顔してたな






耳に軽いキスをして

俺はフェリーへと向かった

彼女に背を向けて















お前、今泣いてるよな

多分、俺が背を向けた瞬間に

泣き出してるよな

もう一度

お前の顔見たいけど

もう振り向けないよ















俺も泣いてるから
















頼むから

明日の朝

電話くれよな

俺が

寂しさに耐えられないから







……………………………





彼は私に背を向け

船へと歩き出した












我慢していた涙が

溢れて止まらない

辛すぎるよ

もう耐えられない…








でも

彼は














一度も

振り向かず

行ってしまった














私を一人置き去りにして













船が

ゆっくりと

陸から離れていく





ターミナルの中では

船が見えなくなってしまう

私はターミナルの外に

急いで飛び出し

船が見える場所を

必死でさがした







ターミナルのそばの

通路を進み

海の近くまで出られる

場所を見つけた


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