チェーンな2人
第1章 会ったばかりなのに
私は高校生
彼は、社会人だった
とても寒いある日
彼は遠くから
私に逢いにやってきた
飛行機で一時間以上かかる
離れた場所で働いている
彼はコック
あるホテルの
イタリアンレストランで
働いていた
朝早くから夜遅くまで
くたくたになるほど働いて
私が眠りにつく頃帰宅する
すれ違いばかり
彼が遅番の朝
登校前に
モーニングコールをするのが
私の当時の楽しみだった
モーニングコールでの彼は
いつも眠そうな声。
ちょっとカスれた
私の好きな声…
彼はきっと、布団の中
目を閉じたまま話をしている
私も同じように目を閉じ
彼の声に耳をすます
カサッ
という、布団のすれる音
寝返るときに
ふともれる息づかい
聞きのがすまいと
私は息をひそめる
そういえば
あまり話はしなかった
目を閉じれば
すぐそばに…
彼が手の届く所にいるようで…
空間が繋がっているような
錯覚にうっとりしていた
しばらくすると
彼はタバコを吸う
目を覚ますため、らしい
タバコを探す音
ライターで火をつける音
ふーっ…
と彼が煙を吐き出したら
私はそろそろ登校の時間
いつもギリギリまで
携帯を手放せず
わがままを口にした
「学校なんて行きたくないよ
休んじゃおうかな…」
「ダメだよ
俺も休みたくなるじゃないか
ちゃんと学校行って
好きだよ
また電話するから…」
うそつき
電話はいつも私から…
彼のうそは分かっていた
けど
「うん、じゃ
そろそろいくね
じゃあ、ちゃんと起きて
遅刻しないでね
じゃあ、行ってくるね」
涙声にならないように
必死にこらえながら
バイバイと
私は携帯を切る
そんな私の涙に
彼は気付いてたんだろうか……
気付いていたけど
どうしようもない現実に
気付かないふりを
していたんだろうか…
彼は、社会人だった
とても寒いある日
彼は遠くから
私に逢いにやってきた
飛行機で一時間以上かかる
離れた場所で働いている
彼はコック
あるホテルの
イタリアンレストランで
働いていた
朝早くから夜遅くまで
くたくたになるほど働いて
私が眠りにつく頃帰宅する
すれ違いばかり
彼が遅番の朝
登校前に
モーニングコールをするのが
私の当時の楽しみだった
モーニングコールでの彼は
いつも眠そうな声。
ちょっとカスれた
私の好きな声…
彼はきっと、布団の中
目を閉じたまま話をしている
私も同じように目を閉じ
彼の声に耳をすます
カサッ
という、布団のすれる音
寝返るときに
ふともれる息づかい
聞きのがすまいと
私は息をひそめる
そういえば
あまり話はしなかった
目を閉じれば
すぐそばに…
彼が手の届く所にいるようで…
空間が繋がっているような
錯覚にうっとりしていた
しばらくすると
彼はタバコを吸う
目を覚ますため、らしい
タバコを探す音
ライターで火をつける音
ふーっ…
と彼が煙を吐き出したら
私はそろそろ登校の時間
いつもギリギリまで
携帯を手放せず
わがままを口にした
「学校なんて行きたくないよ
休んじゃおうかな…」
「ダメだよ
俺も休みたくなるじゃないか
ちゃんと学校行って
好きだよ
また電話するから…」
うそつき
電話はいつも私から…
彼のうそは分かっていた
けど
「うん、じゃ
そろそろいくね
じゃあ、ちゃんと起きて
遅刻しないでね
じゃあ、行ってくるね」
涙声にならないように
必死にこらえながら
バイバイと
私は携帯を切る
そんな私の涙に
彼は気付いてたんだろうか……
気付いていたけど
どうしようもない現実に
気付かないふりを
していたんだろうか…