テキストサイズ

チェーンな2人

第1章 会ったばかりなのに

海沿いのホテルは
もう何度か来ている




昼間、天気がいいと
キラキラした海が
ベッドから見える
腕枕に頬をスリ寄せながら
その景色を見るのが
彼女は好きだ



今日は見せてあげられないな…



夜が明ける前に
彼女を家まで
送って行かなきゃ…


もっと違う所に
行きたかったかな…
行きたかったよな…
ごめんな
明日は映画でも行こうな


眠ってしまった彼女の
髪の中に手を入れ
何度も指でとかしながら
心の中で謝った


気持ちいいな
このまま眠りたい……
俺だって
帰りたくないんだ
ずっとこうしていたいよ

でも
言えないじゃないか
俺までそんなこと

そんなこと言ったら
お前また泣くだろ?





かわいいな
お前の眠ってる顔も
まつ毛も
細い指も
小さい耳も
声も
笑顔も
かわいいな




お前がいるから
仕事頑張れてんだ

電話もうれしいんだよ

でも電話は
お金もかかる

わかってる
わかってるけど

しちゃダメだって
言えないんだ
お前の電話
待ってるんだよ俺

甘えてんな…
弱いよな…
ごめんな





眠気覚ましに
タバコを吸う







すると彼女が目を覚ました








「あ、寝ちゃった・・」


「あぁ、気持ちよさそうに
寝てたよ」


「もう・・帰らなきゃダメ?」


「そうだな」


「帰りたくないなー…」


「また、すぐに会えるだろ」


「うん……」


「ほら、おいで
キスしてあげるから
帰る準備して、な?」






そう言うと
彼女はうれしそうに
近づいてきた


わざと
軽いキスをする


「もっと」


と言わせたいからだ

ダメだ
俺もうイカれてる








家まで送っていくと
彼女は
車を降りたくないと
少しわがままを言って
俺を困らせた


でも
時間を気にして
彼女はしぶしぶ車を降り
静かに静かに
家の中へと入って行った

しばらくして彼女の部屋の
窓がゆっくりと開き
手で大きな丸を作って見せた



大丈夫のサインだ









じゃあな
おやすみ


と、口パクで告げ
ゆっくり車を出す








さぁ帰ろう
一人の運転はつまらないな
右手でギアチェン
しなくていいのか…
眠くなりそうだ












ストーリーメニュー

TOPTOPへ