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チェーンな2人

第1章 会ったばかりなのに

彼は
私の濡れた頬を
優しく拭いながら



「泣かせてごめんね
寂しかったよね
ごめんね」





と、何度も謝っていた






本当に会いたかった
もう離れたくない
ずっと、ずっと
そばに居たい
あなたの体の一部に
なってしまいたい

そう思った








でも、幸せな時間は
あっけなく
過ぎていく

もう時間だ
帰らなきゃ…











深夜0時






という約束をし
私は自宅へと戻った












私は自宅で
家族が寝静まるのを
そっと待つ

深夜0時になるのを
じっと待つ

約束の時間になれば
彼が静かに
車で私を迎えに来るのだ



遠距離になる前
よくこうして
デートを重ねていた










時間だ!







そっと窓を開け
様子を伺う

スモールライトをつけた車が
既に止まっている




彼だ








私は息を殺して
階段を静かに降り
玄関をそっと開ける
カチャッ
という小さな音に
心臓が縮まる





足音に気をつけながら
車までたどり着くと
ゆっくりドアを開け
助手席に座る

無言でうなずいて見せ
OKの合図を送ると
彼は慎重に
車を進める

私が開けた車のドアは
まだハンドアのままだ

少し車を走らせた所で
音を立てて
しっかりと閉める



閉めた途端

ふーっ と 息をはき
軽く天を仰ぐ


すぐ二人は
見つめあって
笑った










脱出、大成功









彼の車はミッションだ

加速しきるのを待ち
ギアがトップに入るのを
見届ける

そして
どちらともなく
手を繋ぐ






しばらく走っていると
赤信号につかまった

手を放すタイミングだ

わずかな時間なのに
手を放すのがイヤで
私はガッカリした顔
していたみたい


私が繋いだ手を
ほどこうとすると

『そのままでいいよ』

と、彼は
優しく微笑み
右手でギアを変えた
やりにくそうに






恥ずかしくも
幸せな笑みが
私からこぼれた










これからしばらくは
ドライブ












行き先は決まっている











海沿いにあるホテルに



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