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気になるアイツ

第5章 取引

深夜1時。

階下の電気が消えて大分たつ。

コンコン

控えめなノックの音。

やっぱり来た。

俺はそれを待っていた。

声を出さずにドアを開ける。

するりと入って来たのは、梨江子のだ。

「…どういうつもり?」

音をたてないようにドアを閉めている途中に、待ちきれなかったのか、梨江子は早速聞いてきた。

眼鏡越しの目は、当然俺を睨みつけていた。


ニヤリ


予想通りの反応に、思わず口元が緩む。

「どういうつもりかって聞いてんの」

その顔を見た梨江子はさっきよりも声を荒げた。

「そっちこそ、やましい事があるから来たんだろ?」

「!」

送ったメールはちょっとした賭けだった。

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