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気になるアイツ

第8章 後悔

この息の詰まりそうな空気は何とかしたいのだが、これも俺が自分で招いたことなので仕方ないという気もしてきた。

あの日、快楽に溺れた俺は終わった後も放心状態で、頭の中は真っ白だった。

そんな俺を気にもせず、梨江子は後始末をし、服も着てさっさと部屋を出て行く。

「約束、忘れないでよね」

「あ…」

呼び止めたくても、その声はかなり冷たく俺の中に響いた。

そう、これは取引だったのだ。

あんなに甘く気持ち良かった時間も、そのことを思い出せば瞬時に虚しさに変わった。


あんなに可愛かったのに、もしかしたら演技だったかも…?


なんてことまで考え始めると、俺は自分のやったことに嫌気がさした。

気持ち良すぎたのが、余計に追い打ちをかけた。


俺がリコを抱くことはもうできないんだろうな…

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