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恋ばか

第10章 ~婚約者~

…とうとう、お祖父様に会うのか…

そう思うと、足が重くなる。

そんなことを考えている間に、客間に着いてしまった。

「…いい? 開けるよ?」

「…うん。」

亮は俺の手を離すと、ドアをノックした。

「失礼します。」

「…どうぞ。」

お祖父様の声が聞こえた瞬間、体がビクッと震えた。

それに気づいて、亮が笑顔を向けてくれる。

「大丈夫。 俺に任せて。」

「…う…ん…」

(ダメだ…震えが止まらない…)

両腕で体を抱えるが、全然震えが止まらない。
そんな俺を見て、境が心配そうに声を掛けてくる。

「留架…大丈夫?」

「う…ん…ごめ…大…丈夫…」

そうは言うものの、震えは一向に収まる気配はない。

「…留架…」

亮は俺の名を囁くと、俺を引き寄せて唇を重ねてきた。

「んんっ!? っ…ちょ…亮…っ…」

驚いて亮の胸を叩くが、亮は止める気配がないので身を任せる。

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