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恋ばか

第11章 ~父~

入って来たのは、もちろん俺の父―…

桜木成海だった。

父さんは部屋に入ると、真っ先に春架に声を掛けた。

「おお、春架。 元気にしてたか?」

「………はい。」

父さんは満足そうに頷くと、次に綾音に目をやった。

「急になんだ、綾音? 呼び出された時は驚いたぞ?」

「ふふ…ごめんなさい。」

綾音は嬉しそうに微笑むと、少し頬を赤らめた。

そんな綾音を見て父さんも微笑むと、俺がいる事に気がついた。

「春架、お前の隣にいるのは…」

俺はゆっくりと…体の震えを必死に抑えて頭を上げた。

「っ!!」

「……お久しぶり…です…」

父さんは俺の顔を見て、目を見張り、しばらく何も言わなかった。

ようやく落ち着いたのか、ゆっくりと口を開いた。

「なんで…お前がここに…?」

「っ…それは…」

俺が俯き、答えに困っていると、父さんは優しく微笑んで、俺を抱きしめてきた。

それに、体がビクッと震える。

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