テキストサイズ

恋ばか

第15章 ~目覚め~

「ん…?」

ここは…?

白い天井が目に入る。
しかし、この天井は俺の部屋のものではない。

「ぃ…っ…」

頭がひどく痛む。

ゆっくりと体を起こした。

「留架!?」

急に名前を呼ばれ、驚いてそちらを見る。

「…きょ…う…?」

目を向けた先には、親友である人物と、その横に…

「カズ…?」

親友の恋人がいた。

「よかっ…た…留架…」

「境…」

境は目にうっすらと涙を浮かべ、俺に抱きついてきた。

「い゛っ!!」

抱きつかれた衝撃で、体に激痛が走る。

「あっ、ごめん…」

「…大丈…夫。」

俺が少し微笑んだのを見て、境は安心したように息をついた。

「本当によかった…一時はどうなるかと…」

震える声でそう呟くと、境はいすに腰をかけた。
境に続いて、カズも腰をかける。

「境…ここって…」

「病院だよ。」

やっぱり…

「…車に跳ねられたんだって。」

その言葉で、ボンネットが潰れた車を思い出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ