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恋ばか

第16章 ~記憶~

「どうやら桜木様は、小原様の事だけを忘れてしまったようですね…」

「「なっ!?」」

全員、驚きに目を見張る。

「しかも、無意識のうちに思い出すのを拒絶しています。
たまにあるんですよ。 その事故の直前にあまりにもショックな事があり、事故で頭を強打してその事はもちろん、楽しかった思い出や悲しい思い出…全て忘れてしまう事が…」

「「…………」」

あまりにもショック…?

なんだろう…なにもわからない…

「思い出そうとすると、本人に自覚がなくても本能的に拒絶反応を示すんです。
だから、ひどい頭痛が起こるんでしょう。」

(そんな事があるのか…)

先生の話を聞きながら他の事を考える。

(なんで小原さんの事だけ覚えてないんだ? あまりにもショックな事?
事故の直前、俺は何をしていた…?)

思い出そうとすると、一瞬だけ鋭い痛みが頭を走った。

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