テキストサイズ

恋ばか

第16章 ~記憶~

「…っ…」

手で頭を押さえ込む。

その時、ある疑問が浮かんだ。

(あれ…? そういえば…)

「あの…先生…」

「はい?」

頭を押さえていた手を見ながら疑問を口にする。

「なんで…小原さんに撫でられただけで頭痛は治まったのでしょう?」

先生は考える素振りも見せず、すぐに答えた。

「それは私も考えました。 おそらく、それも本能的なものだと思います。
思い出したくない。 という感情と、小原様と付き合っていた頃の彼の温もりを忘れたくない。 という感情がぶつかっているんではないかと…
桜木様でも無意識のうちに、彼を求めているんだと思います。」

「小原さんを…?」

先生は黙って頷き、部屋を出て行った。

「「…………」」

しばらく沈黙が続く。


無意識のうちに彼を求めてる…


頭の中でその言葉がぐるぐるしていた。

なんで…小原さんの事を忘れてる…?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ