恋ばか
第22章 ~別れ~
「わざわざ見送りありがとう。」
「うん。 ま、親友としてね。」
そう言って笑った境は、少し寂しそうだった。
「カズもありがとうね。」
「あぁ。 元気でな。」
いつも通りカズは優しく微笑むと、俺の頭を撫でてくれた。
「三神に、「ありがとう。」って言っておいて。」
「わかった。」
カズから春架に視線を移す。
「春架、元気でね?」
「……うん。 兄ちゃんも。」
春架の頭を撫でながらそう言えば、震える声でそう返してきた。
「…小原さんも…わざわざありがとうございます。」
「気にしないで。 向こうでも元気で。」
その言葉に微笑み、何気なく視線を移せば、亮と春架が手を繋いでいるのが目に入った。
「…っ……」
留学すれば…もう、こんなのを見なくてすむ。
「…春架のこと…頼みましたからね。」
「…うん。」
亮が頷いたのを確認し、境達を振り返る。
「じゃあ、みんな元気でね。」
「お前もな。」
境の言葉に頷き、飛行機に乗り込もうとすれば、春架に腕を掴まれた。
「春架…?」