恋ばか
第26章 番外編~Merry Christmas~
「………架……」
誰?
「…留架…」
俺のこと呼んでるのは…
「か…さん…?」
「ど…して…」
「ぇ?」
それは母親だった。
「どうして…私が…」
だんだんと、目の前に白い影が現れ始める。
「なんで…」
「ぁっ…」
徐々に輪郭がはっきりしていく。
「ぁっ…ぁ…」
「なんで…」
それは、血まみれの母親だった。
「ごめっ…なさ…」
死んだ母親が、自分を責める。
「ごめっ…」
ただひたすら、謝り続ける。
「………架……」
…と、かすかに優しい声が聞こえてきた。
「留架…」
優しくて温かいぬくもりに、体が包まれる。
「ぁ……」
なぜか、すごく安心できた。
「ごめん…」
なんで…?
なんで謝るの?
「気づいてやれなくて、ごめんな…」
なにを?
「早く、目覚まして。」
覚ます?
(あ、そうか…)
これは夢だ。
「………ぅ…?」
俺を呼んでるのは…
「り…ぅ…」
大好きな…
「大丈夫だよ。」
愛しい…
「亮…」
大事な恋人―…