
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「はぁっ…は…ッ…」
「…春架…大丈夫か?」
空さんは優しい。
「…大丈夫です。」
そんな人を裏切った俺が…
「そうか。」
傍にいちゃいけない。
(ごめんなさい…空さん。)
もう、終わりにしよう━━……
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~空SIDE~
「…もう、終わりにしましょう。」
「なにを?」
一瞬、なにを言われたのか分からなかった。
「この関係を…です。」
行為を終え、着替える春架にそう告げられた。
「なんで。」
わけがわからず、気が付けばそう尋ねていた。
「……………」
春架はしばらくなにも答えなかったが、制服を全て着ると口を開いた。
「…好きな人ができたんです。」
話が急すぎて、ついていけない。
「だから…もう、終わりにしましょう。」
「…わかった。」
全然納得してないのに、頷いてしまった。
「…今までありがとうございました。」
「あぁ。」
春架は鞄を持つと、ドアノブに手をかけた。
「お元気で…」
「お前もな。」
一人になった空間に、「パタン」と乾いた音が響いた。
