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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~

~春架SIDE~
「おはよー、春架。」

「おはよ…」

教室に向かう途中、ユイに声をかけられた。

「…大丈夫か?」

「うーん…微妙。」

三日前、空さんに別れを告げてから、あまり眠れていないことを知っているのか、ユイが心配そうに尋ねてきた。

「まだ三日しか経ってないしな。」

「…うん。」

違うよ、ユイ。
・・
もう三日も経ったんだ。

「はぁ…」

空さんがいなくなっただけで、毎日がこんなにつまらないなんて…

「春架…」

なんの意味もない日が、あっという間に過ぎていく。

(空さん…)

こんなに好かれたら迷惑だろうな…

「教室入ろうぜ。」

「ぁ、うん。」

ユイの言葉に頷き、教室の扉を開ける。

「はよー、桜木。」

「…おはよ。」

教室に入ると、クラスメイトが声をかけてくる。

「おい、桜木聞いたか?」

「なにを?」

自分の席に着くと、情報通の奴が楽しそうに話しかけてきた。

「なんの話?」

席に荷物を置いてきたのか、ユイが話に加わってきた。

「三年生の小泉先輩と木原先輩が付き合い始めたんだって。」

「………」

だからみんな騒いでるのか。

「いずれは付き合うと思ってたけど、やっとかぁ~。」

「………」

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