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恋ばか

第29章 ~好きになっちゃいけない人~


「…………」

俺がしっかりしてないから…

「おい、春架。」

「な、なに?」

俺のせいでみんなに…

「自分を責めるな。」

「ぇ…」

迷惑を…

「お前のせいじゃないんだから。」

ユイは俺の目を見て、はっきりとそう断言した。

「あんなことがあったんだ。 仕方ないだろ?」

「でもっ…」

自分が弱かったから…そのせいで、みんなに迷惑をかけている。

「お前は弱くないよ。」

なんでユイは、俺の考えていることがわかるんだろう?

「お前は強いよ春架。 俺よりもずっとな。」

「俺…が…」

強い?

「大事な人を二回も失ってるのに、お前は自分よりも他人を気遣えるんだから。」

そう話しているユイは、すごく悲しそうな顔をしていた。

「自分が一番傷ついてるのに、他人を優先できる。」

そんなことしてる自覚はない。

「さっきも、五十嵐さんのことを自分のせいだと責めてただろ?」

それは無意識に考えてることで…

「お前のことだから、俺たちの邪魔をしてると思ったんじゃないか?」

ユイは次々と、俺の考えていたことを当てていく。

「そんなことなっ…」

「春架。」

反論しようとすれば、ユイに遮られた。

「もっと自分を大切にしろ。」

「…っ…」

なんでだろう。

「このままじゃ、お前が壊れるぞ。」

「…ぅ…ッ…」

気づけば、涙を流していた。

「なっ…んで…ッ…?」

「春架…」

どうして涙が出てくるんだろう。

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