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「コツを掴めばね…」

「まぁ、春架がいるからいいや。」

悪戯っぽく笑うと、境兄ちゃんはゆっくりと立ち上がった。

「もう行くの？」

「あぁ。　お前の顔見に来ただけだし。　それに…」

なにか用事でもあるのかな？

「亮のこと、見張ってないとな。」

「そうだね。」

境兄ちゃんの言葉に笑いながら頷く。

「じゃあな。」

「……？　うん、またね。」

一瞬、境兄ちゃんの笑顔が曇った気がしたが、笑って境兄ちゃんを見送り、ユイ達のところに戻った。

「あの二人、相変わらずだな。」

「そう？」

…そういえば最近、境兄ちゃん元気ないな。

「どうしたんだろ…」

「ん？　なにが？」

声に出てしまったらしい。

ユイが口を挟んできた。

「境兄ちゃん。」

「あぁ…元気ないってこと？」

ユイの言葉に頷く。

「そっか…お前、知らないのか。」

「なにを？」

なんかあったのかな？

「黒澤先生と喧嘩したらしい。」

「一臣さんと？」

そんな話、聞いてない。

「お前は今、自分のことで精一杯だから、言うのをやめたんだろ。」

「…………」

その話を聞いて、自分がみんなに迷惑をかけていることを改めて実感した。

「そうなんだ…」

俺がこんな状態だから、境兄ちゃんはストレスが溜まってたのかもしれない。

「ねぇ、コウ。」

「ん？」

この二人の仲を邪魔してるし…