
恋ばか
第29章 ~好きになっちゃいけない人~
「空さん!?」
「ベッドの上でしか泣かせねぇよ。」
「ちょ、なに言って…///」
顔が一気に赤くなる。
『絶対だよ?』
「あぁ。」
兄ちゃんの言葉に、空さんは迷わず頷いた。
『それだけ。 じゃ。』
満足そうに笑って、兄ちゃんは電話を切ろうとした。
『あ、そうだ。』
が、なにか思い出したのか、再び口を開いた。
『亮…そのまま聞いてくれる?』
「え…うん。」
亮さんの顔が見えないようにしたまま、兄ちゃんは口を開いた。
『ごめんね、ずっと待たせてて。』
兄ちゃんの口から出てきたのは、謝罪の言葉だった。
『俺、絶対亮のところに帰るから。 だから…』
「…?」
兄ちゃん…
『俺のこと、待っててくれる?』
「留架…」
不安そうな兄ちゃんの声。
「待つよ。 留架が帰ってくるまで、何年でも。」
『亮…』
亮さんの答えを聞いて、兄ちゃんは安心したように微笑んだ。
『ありがとう。』
「あ、留…」
『RUKA~!!』
病室に外人の声が響く。
『あ、リチャード。』
『ハヤクイコウヨ!!』
その声を聴いて、亮さんがパソコンの画面を覗き込んだ。
『もうそんな時間か。』
『ウン。 ミンなマッテルヨ!!』
後ろから抱きつかれる兄ちゃん。
『俺、もう行かないと。』
「ぇ!? ちょ、留架…」
リチャード…?
『じゃ。』
「あ…」
今度こそ、通話が切れた。
「なんか…嵐みたいだったな。」
「ね。」
境兄ちゃんが大きくため息つく。
「さっきのリチャードって人、誰?」
「わからないです。 思い出せなくて…」
うーん…誰だっけ?
「ぁ…」
思い出した。
「叔母さんの子供だ。」
「つまり、留架や春架君にとって…」
「従兄弟です。」
母さんの妹さんの子供だ。
「叔母さんは、外国人と結婚したので…」
「なるほど。」
確か、お祖父様はそう言ってた。
