
恋ばか
第31章 ~おまけ~
「俺を屋上に誘ったのも木原だったし。」
「…どうしてですか?」
俺と空さんの関係は知らなかったはず。
「あいつは全部知ってたんだろ。 だから、お前が邪魔になった。」
「………」
そんなことまで知ってたなんて…
「…………」
「そろそろ戻るか。」
本当に空さんが好きだったんだ。
「はい。」
空さんのことを全部調べるくらいに。
「「…………」」
部屋に戻るまで、空さんと会話はなかった。
「…体…大丈夫か?」
「はい。」
部屋に入ると、空さんはそう尋ねてきた。
「声も出るようになりました。」
「そうか。」
空さんは安心したのか、柔らかく笑うと、ソファに腰掛けた。
「春架。」
「…ぇ……」
手招きされ、素直にそれに従う。
「…ぅわっ!?」
空さんに近づくと、腕を引かれ、後ろから抱きしめられる形で膝の上に座らされた。
「ちょ、空さ…」
「ごめんな。」
空さんの口から出た言葉に驚いて、動きを止める。
「慰められてたってことは、泣いてたんだろ?」
「………」
否定できなかった。
「ごめんな。 俺は、お前のこと泣かせてばっかりだな。」
弱弱しい空さんの声。
「お前には、笑っててほしいのに…」
初めて聞いた。
「空さん…」
腰に回っている空さんの腕に手を添える。
「確かに、俺はたくさん泣きました。 でも…」
それは、空さんのことが…
「それは、空さんのことが好きだからです。 空さんのことを想うと、胸が苦しくて…本気で好きだからこそ、俺は泣いたんです。」
大好きだからだ。
