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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~

『春架が木原に脅されてるらしい。』

『春架君が?』

臣の言葉に頷いた。

『あぁ。 俺は出来るだけ春架から離れないようにするから、お前は木原について調べてみてくれないか?』

『わかった。』

あの時、あんなことを頼まなければよかった。

そしたら、あんなものを見なくて済んだのに…

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「ん…」

「目が覚めた?」

聞き覚えのある声が聞こえ、目を開ける。

「っ…木原…」

「そんな怖い顔しないでよ。」

顔を上げると、木原が立っていた。

「どうして俺を…」

「桜木春架をおびき寄せるための人質になってもらうだけだよ。」

「お前…っ!?」

木原に飛びかかろうとして、体に激痛が走った。

「いっつ…」

「さすがだね。 それだけ殴られてもまだ動けるなんて…縛っておいて正解だったよ。」

くそ…体が言うこと聞かねぇ…

「彼が来るまで大人しくしててね。」

「あ、おい!!」

木原はそう言うと、俺の前から姿を消した。

「あの…大丈夫ですか?」

「…っ?」

女の子の声に振り向くと、女子生徒が俺と同じように縛られてこちらを不安そうに見ていた。

この子は確か…

「結崎の彼女さん…?」

「あ、はい。 近藤真依です。」

少し小柄な女の子…近藤真依ちゃんはそう言って、俺の傍に寄ってきた。

「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ…」

起き上ろうと体に力を入れたが、痛みのせいで無理だった。

「…っ…」

「あんまり無理なさらない方がいいですよ。 たぶん、肋骨を何本か折ってると思います。」

確かに、この子の言うとおりかもしれない。

肋骨を何本か折っているようだ。

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