恋ばか
第33章 ~貴方だけを愛してます~
「君は大丈夫か?」
「あ、大丈夫です。 私は特になのもされてないので…」
見た目に反して、随分と強い子のようだ。
「そうか。」
さすが、あの結崎が付き合っている子だな。
「おい、来い。」
「っ…なにすんだよ!!」
どこから来たのか、男たちに無理矢理引きずられ、場所を移動させられた。
「うるさいぞ。」
「うぐっ!!!」
男の拳が腹に入った。
「先輩!!」
「お前も来い。」
結崎の彼女と連れてこられた場所には…
「境兄ちゃんっ!! 真依ちゃん!!」
春架の姿が。
入り口から差し込んだ光のおかげで、ここが体育倉庫であることを理解した。
「…ッ…春…架っ…」
「春架君…」
春架の反応が予想通りだったのか、木原は面白そうに笑った。
「この二人にこれ以上なにもされたくなかったら、おとなしくしててね?」
「………」
木原の言葉に、男たちが俺達から離れ、春架の方にじりじりと近づいて行く。
「は…るかっ…逃げろ…ッ…」
「ごめん、境兄ちゃん。」
馬鹿…早く逃げろ。
本当は怖くて仕方ないはずなのに、春架は俺と目を合わせると薄っすらと微笑んだ。
「それはできないよ。」
「ッ…お…前っ…」
こんな状況でも、お前は笑うのか。
「怖い思いさせてごめんね、真依ちゃん。」
「春架君…」
春架が結崎の彼女に向けた笑顔は、いつものと変わりなかった。
たぶん、こうなることをわかっていてここに来たんだろう。
「すぐ終わるから、もう少し待ってて?」
「春架君っ!!」
男たちが、春架の目の前まで迫った。
「…っ…」
ダメだ…俺には春架を助けることができない。