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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~

「あ、そうだ、先生。」

「はい?」

ずっと疑問に思ってたことを、この機会に尋ねてみることにした。

「前に言ってましたよね? 先生の大切な人は心臓が弱いって。」

「えぇ。」

あの時…先生は話してくれなかったことがあった。

「どうにもならないって、どういうことですか?」

「………」

先生は悲しそうな表情をした後、理由を教えてくれた。

「心臓移植が必要なんです。 ドナーは既に見つかってるんですが…資金の方が…」

「いくらかかるんですか?」

話すのを迷った様子を見せた先生は、俺と目を合わせた。

「そんなことを聞いてどうするんですか?」

「………先生にはお世話になりましたから。 それに、俺は人生の中であなたを失いたくないと思ってます。」

俺の言葉を聞いて、先生は質問に答えてくれた。

「4000万円です。」

「俺が払いますよ、そのお金。」

「なにを言って…!!?」

4000万円くらいなら、株で稼げる。

「言ったでしょ? 俺は、人生の中であなたを失いたくないって。」

それに、先生が心から笑った瞬間を見てみたい。

「その代わり、俺や留架…みんなになにかあったら、先生が治療すると約束してください。」

「五十嵐様…」

小山先生になら、安心して体を預けられる。

「……わかりました。」

「よかった。 じゃあ、すぐに手配しますね。」

あとで臣に頼んでおこう。

そう考えていると、中庭に出た。

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