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恋ばか

第33章 ~貴方だけを愛してます~

「五十嵐様、お電話です。」

「電話?」

小山先生から渡された電話を受け取り、耳に当てる。

「もしもし?」

『もしもし、境?』

電話の相手は、留架だ。

「る…」

『しー…亮いるでしょ?』

名前を言いかけると、留架に止められた。

「………なんだよ。」

『そろそろ楽しくなってきた頃かなって。』

お前…今の俺の状況を笑うためにわざわざ電話してきたのか。

「お前な…」

『後ろの声聞いてる限りだと、まだ真中君に引っ付かれてるみたいだね。』

絶対に俺のことを心配してないだろ。

面白がってるだろ。

『楽しそうでなによりだよ。』

「こっちは全然楽しくないっての。」

ちょっとは心配しろ。

「お前さ…なんでこんなタイミングよく電話できんの?」

『ん? うーん…』

留架の笑顔が目に浮かぶ。

『なんでだろうね?』

「お前…」

きっと、悪戯っぽい笑みを浮かべているんだろう。

『へへへ。』

「………」

「先輩!! いつまで電話してるんですか!!」

横にいる真中はうるさいし…

『そろそろ切ろうか。 めんどくさいことになりそうだし。』

「もう既にめんどくせぇっての。」

留架は笑いながら電話を切ってしまった。

「はぁ…」

「電話の相手、誰だったんですか?」

電話を切ると、すぐに真中が突っかかってきた。

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