恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「ふふふ。 親子三人が同じ人を好きになるなんてね。」
「血筋だね~。」
楽しそうに笑われる留架様と春架様。
「三人の人から求められるなんて、三神が一番モテてるんじゃない?」
「だね。」
「そんな…私など…」
留架様と春架様に比べたら、私など足元にも及ばない。
「なんだかんだ言って、あの三人そっくりだよね。」
「だね。 三人して三神を好きになってるし。」
「……ですね。」
結局、親子なのだ。
「俺の言った通りになったでしょ?」
「え?」
お茶を飲みながら、得意気に笑った留架様。
「全部うまくいくって。」
あ…病院で仰っていた…
「ふふふ。 そうですね。」
「まぁ…うまくいったって言うより、更に面倒なことになったって言った方が正しいような気がしなくもないけど。」
まだ喧嘩をしている三人を見て、留架様と春架様はため息をつかれた。
「そういえば…留架様と春架様が向こうに呼ばれたのは、どうしてだったんですか?」
「ん? あぁ…俺達は、叔父さんに呼ばれて向こうに行ったんだ。
ニックがジェシカさんとの婚約をどうしても認めないから、説得するのを手伝ってほしいって。」
「そうなんだよ。」
「!! ロバート…様…」
いつの間にか、ロバート様が真後ろに立っていた。
ニック様は、まだリチャード様と喧嘩されている。
「"様"なんてつけなくていいよ。 私と晃一の仲じゃないか。」
どんな仲ですか。
「そういう訳にはいきませんよ。 私は、あくまで執事ですから。」
「そんな固い事言わないでさ~。」
リチャード様の性格は、きっとこの人譲りなのだろう。
「叔父さん、あまり三神をいじめないでよ。 それに…」
「!!」
留架様は立ち上がると、私に抱きついてきた。
「三神は俺のだから。」
そう言って、無邪気に笑う留架様。
「ね?」
「ふふふ。 そうですね。」
可愛らしい方だ。
「あ、兄ちゃんだけずるい!!」
そんな光景を見ていた春架様も、反対側から抱きついてこられた。
「へへへ。」
無邪気な笑顔を浮かべられる春架様。
こうやって見ると、本当に似ている。