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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「さぁ…北条様がご心配なされてますよ。」

突然部屋を飛び出された静香を、心配そうな表情で見つめる北条様。

「戻りましょうか。」

「………うん。」

静香様に付いて、部屋に戻った。

「大丈夫ですか?」

「…はい。 ご心配おかけして、すみません。」

先程のように、北条様の隣に腰を掛けられた静香様。

「三神さん、一体なんだったのですか?」

小声でそう聞いてきた小内君。

まぁ、気になりますよね。

「この部屋にいる方々は、みなさんお綺麗でしょう? 慣れていないせいで、恥ずかしくなってしまったそうです。」

「…なるほど。」

だから、顔を真っ赤にしていたのだ。

頭を冷やそうとして、部屋を飛び出されたらしい。

「それにしても…北条様は、とても綺麗な方を捕まえられましたね。」

「えぇ…自分でも信じられません。」

そろそろ…他の仕事を片付けないとまずいな。

夕食の準備もしていないし。

「あ、もうこんな時間…」

「なにか約束でもあるんですか?」

部屋の時計を見て、そう呟かれた静香様。

そういえば、今日は…

「お食事の約束があるんでしたね。」

「え、えぇ…」

すっかり忘れていたな。

たしか、お姉様のご友人と夕食をご一緒されるとか。

「そうですか…残念ですね。」

「すみません…近いうちに、きちんとご挨拶に伺います。」

静香様の言葉に、留架様はにっこり微笑まれた。

「気になさらないで下さい。 楽しんできて下さいね。」

さて…お見送りしますか。

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