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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「小内君、夕食の準備をお願いします。」

「わかりました。」

静香様と一緒に部屋を出て、玄関に向かう。

「それでは、また。 お気をつけて。」

「うん。 ありがとう、三神。」

「失礼します。」

北条様と車に乗り込まれた静香様。

車が見えなくなるまで見送り、留架様のお部屋に戻った。

「三神~!!」

「!?」

が、部屋に入った瞬間これだ。

「ぅ、わっ!?」

留架様が抱きついてくるとは思っていなかってので、受け止めきれず、そのままの勢いで廊下の壁に体をぶつけてしまった。

「っ…」

い、一体、何事なんだ…?

「留、留架様…いかがなされました?」

いてて…頭を打った…

というか、留架様が半泣き状態なんですけど…

「みんながいじめるー!!」

「…………」

なるほど。

さっきのあれか。

「大丈夫ですよ。」

「うぅ~…」

ぎゅーっと抱きついてくる留架様の頭を優しく撫でる。

昔を思い出すな…

「ああー!! 三神に泣きつくなんて、ずるいよ兄ちゃん!!」

春架様がお部屋を飛び出されてきても、留架様は私から離れようとなさらない。

留架様が小さかった頃は、こんなことがよくあったな。

「さぁ…お部屋に戻りましょう?」

「…ッ…うんっ…」

私の主人は、根は変わっておられないようだ。

可愛いと言うか、純粋と言うか…

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