恋ばか
第37章 ~お慕い申し上げます~
「殴るなよ!!」
「お前が悪いんだろ!!」
あぁ…喧嘩を始めてしまわれた。
「これもなくなるのか。 平和だな。」
「…ってことは、今度はうちでこのやり取りが繰り広げられるわけ?
面倒だなぁ…」
春架様…意外に毒舌ですね。
「ん? 三神、それなに?」
「?」
リチャード様に脱がされた手袋をはめようとしたら、境様に止められた。
「その、薬指の…」
「こ、れは…」
昨夜、ニック様につけられた傷。
恥ずかしいから見られたくなかったのに…
「内出血起こしてるな。 なんか、まるで…」
「「結婚指輪。」」
なんでそこで声が合わさるんですか。
「もしかして、昨夜ニックにつけられたの?」
「いえ…その…」
はぁ…どう言い逃れようか。
はたして、素直に話していいものか…
「あ、それで思い出した。」
「「?」」
なんて考えていたら、ニック様に首を絞められていたリチャード様が何事もなかったかのように手を叩かれた。
「お前らさ…もう少し加減してやれよな。 昨夜、ずっと三神の喘ぎ声が聞こえて寝れなかったっての。」
「なっ…///」
そうだ…リチャード様のお部屋は、ニック様の隣だった。
「まぁ、あんだけでかい声で喘げば聞こえるだろうな。」
「ニック様!!///」
あぁ…今すぐ消えたい。
穴があったら入りたいくらい恥ずかしい。
「で、お前、まさかとは思うけど…晃一で抜いてないよな?」
「ニック様!! なにをおっしゃって…」
「抜くに決まってるだろ。 むしろ、あの状況で興奮するなって言う方が無…」
さらっと本当のことをおっしゃられたリチャード様は、当然のごとく、ニック様に殴られた。
「っ…!!」
相当痛いのか、声も出せない様子。