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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「跡継ぎはどうするんだって…質問攻めにあった。」

「跡継ぎ…?」

そうか…境様は五十嵐財閥のご長男。

しかも、ご兄弟はいらっしゃらない。

結婚して子供を作らなければ、一族が…

「いつかは言われると思ってたけどさ…いくら家のためとはいえ、好きでもない女と結婚したり、子供作ったりするのは…」

男同士というのは、色々な問題がついて回る。

留架様や境様の肩には、お世継ぎを作らなければならないという重荷がのしかかっているのだ。

「そっか…境はそうだよね…」

「お前もだろ?」

ん? もしかして、境様はあのことをご存じないのか?

「あれ? 俺、言ってなかったっけ?」

「「なにを?」」

どうやら、留架様と春架様以外は知らないらしい。

留架様…皆様にお話ししていなかったのか。

「俺、この間二人目の弟が生まれたんだよ。」

「「はぁ!!?」」

そうなんです。 この間…二週間程前、アメリカで留架様の弟にあたる方がお生まれになられたんです。

「父さんと綾音の間に生まれた子なんだけど…」

「いつ!?」

「二週間前。」

…というか、本当に話されてなかったのか。

いいのだろうか。

「まじか…」

「何歳差の弟だよ…」

「んーと…20?」

「……すげーな…」

社長もそろそろいい歳なのに…まだ夜の方は健全でしたね。

昔、留架様を奥様と勘違いしていたのが嘘のようだ。

「名前は?」

「静架。 静寂の「静」に、俺と春架の「架」って書いて静架。」

「静架君か…いい名前だね。」

「お前ら、全員「架」の字入ってんだな。」

「うん。」

ちなみに、名付け親は会長。

最初は綾音様のことを嫌っていたようだが、孫が生まれたことによって少しは株が上がったようだ。

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