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恋ばか

第37章 ~お慕い申し上げます~

「ってことで、跡継ぎは静架に託してみようかな…と。 いざとなったら養子取ればいいし。」

「お前…他人任せ過ぎだって。 っていうか、養子って…」

桜木は、優秀ならばあまり血の繋がりは気にしないからな。

その点においては、五十嵐よりは寛大と言っていいだろう。

「はぁ…父さん、もう一人子供作ってくれねぇかな…」

「お父さんより、お母さんがキツイんじゃない?」

ん……? そういえば…

「境様には、妹様がいらっしゃいましたよね?」

「「え?」」

あれ? 違ったか…?

「俺に…妹…?」

本当にご存知ないのか?

ってきり、ご存知なのかと…

「はい。 私が調べた限りでは、境様には妹様が一人いらっしゃいます。」

「俺…そんな話聞いたこと…」

じゃあ、五十嵐様は境様にお話にならなかったのか。

余計なことを口走ってしまったか?

「俺もないな。 三神、どういうこと?」

「あ、はい。 五十嵐様のご結婚は、お父上の…つまり、境様のお祖父様のご意志だということはご存知だと思います。

婚約の話が持ち上がった時、五十嵐様には恋人の女性がいらっしゃったのです。

親の力で引き離され、ご結婚なさっても、五十嵐様とその女性はずっと関係を持っておられました。

そして、境様がお生まれになってから三年後…その女性との間に、妹様がお生まれになったのです。」

「親父にそんな人が…」

私の話を聞き終えた境様は、うつむいて黙り込んでしまった。

まぁ…いきなりこんな話を聞かされたのだ。
無理もない。

「っていうか、三神はどうしてそんなこと知ってるの?」

「いつかは跡継ぎの問題が挙がるかと思いまして…念の為調べておきました。」

本当に話す気はなかったのだが。

口が滑ってしまったな。 気を付けよう。

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