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恋ばか

第9章 ~婚約~

「おはよー、境。」

「…おはよー…」

玄関に行って境に挨拶しても、何だか元気がない。

「境? どうしたの?」

小声で尋ねると、境は耳元で小さく呟いてきた。

「…腰が痛い…」

「はは…俺も…」

チラッと横を見ると、腰痛の元凶が二人、勝負の勝敗を競っていた。

「俺は5回イかせたぜ? お前は?」

「フッ…私の勝ちですね。 私は6回イかせましたよ?」

…こんな話を玄関先でしないでほしい…

境も同じ事を思っているのか、表情が暗い。

「なっ!! ちくしょー…次は絶対負けないからな!!」

「次はないから!!」

すかさず、俺が亮に突っ込む。

「次も負けませんよ。」

「お前も、勝負を受けるなっ!!」

…そんなことを言い合っていると、体中に視線を感じた。

おそるおそる振り返ると、使用人達が驚いたような表情でこちらを見ていた。

「「…………」」

それに気づいているのも、俺と境だけで、亮と黒澤さんは再び口論をしている。

「…行こうか…」

「……うん。」

俺と境は、使用人達の視線から逃げるようにその場をあとにし、中庭に向かった。

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