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恋ばか

第9章 ~婚約~

ー10分後ー
俺と境は、中庭の丸いテーブルに座ってお茶を飲んでいた。

「…そういえば、なんで黒澤さんの事、臣って呼んでるの?」

疑問に思っていた事を尋ねると、境は少し赤くなりながら答えた。

「あいつのフルネーム、黒澤一臣っていうだ。 最初は黒澤だったんだけど、みんな黒澤って呼んでるから、自分だけ特別な呼び方で呼びたかったっていうか…その…」

「へぇ~、そうだったんだ~」

境が俺の方を見る。
が、俺は首を横に振った。

今の声は自分のものではないと。

(境…後ろ見てみ?)

(…後ろ?)

声は出さずに視線だけで後ろを示すと、境はゆっくりと振り返った。
ーと、そこには、にやついた黒澤さんと、なぜか不機嫌そうな亮が立っていた。

「嬉しいね。」

「臣!? お、おまっ…留架!! はめたな!?」

境は耳まで真っ赤になって、俺の方を振り返った。

「保健室の事の仕返し?」

「っ!! ……」

俺の言葉に何も言い返せず、境は黙り込んだ。

そんな境を、黒澤さんは愛おしそうに後ろから抱きしめた。

「ありがとう。 すごい嬉しいよ…境。」

「………っ///」

俺は椅子から立ち上がると、亮の腕を引いてその場から離れた。

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