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さくらさく

第3章 2

「瑞穂のだけは、まともに食べるわよね。」

「お母さんはわかってないの!!」

シュークリームのおかげで機嫌が直った。

私たちは病院を出て、すぐにお店に行った。

「さくらは本当に食いしん坊だな。」

「なっ!お父さんだってそれ3個目じゃん!!さらに太るよ!!」

「お父さんはいいんだ!!」

「なんでよ!!」

私たちのやり取りをお母さんはずっと見ていた。

「…お母さん?なんで泣いてるの?」

「えっ」

お母さんの目からは大量の雫が落ちている。

「ごめんなさい…っ。嬉しくって…」

「……。」

私もお父さんも何も言わなかった。

「…お父さん、お母さん。こんな私でごめんね。」

ぱたん…

私はそれ以外何も言わずに部屋を出た。

「…っ、私って親不孝だよね!!」

こんなコト、思わないようにしてた。

でも、これが現実。

この運命を変えることは出来ないもんね。

本当に…私って…

コンコンッ

「さくら?お父さんだけど。」

私は涙を拭い、

「入っていいよっ。」

と言った。

「ごめんな。さくら。」

「なんで謝るの?」

「1番泣きたいのは、さくらなのにな。」

「別に私は泣かないよ。こんなコトになっちゃったけど…」

「母さんも泣く気はなかったと思うから、許してくれ。」

「…うん。わかってる。」

普段お父さんとはこんな話しない。

「ごめんね。私、何も出来ない…」

「…」

「せめて、孫を見せたかったなぁ。」

「…寂しいな。」

「残りの時間いっぱい楽しむから!!安心してね。」

「それが1番の親孝行だよ。」

そう言って、部屋を出ていった。




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