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さくらさく

第8章  7*祐樹の過去2nd*


*翌日*

父さんが帰ってきた。

「ただいま。」

父さんはまた、俺の頭を撫でる。

パシッ

「……え」

父さんは驚いた顔をする。

「…俺に触れるな。」

前に言えなかった言葉。

あの日言えなかった、言いたかった言葉を言えたんだ…

「祐樹、どうした?」

「アンタみたいな奴に触られたくない。」

「…親に向かって何を言っているんだ。」

浮気してるくせに、親面するのかよ。

都合のいいときだけ…

「あなた。」

黙っていた母さんが口を開いた。

「大事な話があるの。」

「…そうだな、祐樹、部屋に戻りなさい。」

俺のことだと思ってるな。

「いいえ、祐樹も居なきゃいけないの。」

父さんはため息をついた。

「何をしたんだ、祐樹は」

「…あなたの話よ。」

父さんの顔は急に青くなる。

「早く来て。」

「…」

喋らなくなった。

ただ、母さんの後ろをついていくだけ。

哀れな父親。


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