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どらくえ3

第4章 レーベ村

「ねぇ、アベルはいくつ?」

市場で買ったオレンジジュースを片手にリサと俺は肩を並べて歩いている。

「こないだ16になったばかりだ。リサは?」

「わたしは15歳。でもしばらくしたら誕生日。だから同い年だね」

「そうか。リサは小さい頃から魔法が使えるのか?」
「うん。魔法は得意なの」
「どうやったら魔法が上手くなるんだ?俺とリサのメラは威力が全然違うぞ?」
「それはねぇ、心の問題だよ。アベル君。ふふ」

「心?」

「魔法は精霊の力に頼っているものが多いの。精霊と仲が良ければたくさん力を貸してくれる。精霊とのやり取りは心でするの。だから心の問題ってわけ。」

「そうか。俺はまだあんまり精霊と仲良くなってないんだな」

「うん。まあ経験とか相性とかあるし。わたしは火の精霊と長いから、ね。」

そう言うとリサはパチンと指を鳴らした。

ボッ!

と小さな火が指先に現れる。

「へー!」

ふふん、とリサは得意気に鼻を鳴らした。

市場の角に人だかりがある。
催し物かな。

「力自慢は寄ってきな!この岩を動かせたら、ご褒美だ!」
大柄な男が大声で客寄せしている。
―岩?
―なんだか俺の背丈ぐらいの大岩があるが、アレか?
「アベル、ご褒美だって」
リサがイタズラに笑う。

「おい、やるのか?アレはでか過ぎだろ?」

「やってみないとわからない!はいはーい、やります!やります!」

リサが勝手に俺の手を掴んで挙げる。

―俺かよ!

「よーし兄ちゃん!いい度胸してるね!俺の可愛い岩石ちゃんを動かせるもんなら動かしてみろってんだ!」
大柄な男が調子よく言う。

ここで退けば男が廃る。

―くっそ、やるだけやってやる。

俺は気合いを入れて、両手に唾を付けて人だかりを分けて大岩に近づいた。

後ろを付いてきたリサが

「さあ、いってこい!」

と言ってバシーン!と背中を叩いた。

リサを見ると笑っている。

―すっかり、セコンド気取りじゃねえか。

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