秘書のお仕事
第5章 鬱憤の種
どれくらい時間が経ったのかわからないけれど
空腹も限界に達して、あたしのお腹は低い悲鳴を上げた
『…お腹が減って力が出ない…』
時間を確認すると、4時になっていた
ああ、あたしったらお昼まだだった…
肩を回してフゥッと息を吐き、あたしは社長室を出た
ちなみに社長は、まだ戻って来ない
エレベーターに乗り込み、2階のボタンを押す
食堂は2階にあるからだ
乗り合わせた人と軽く会釈し、2階に到着すると、あたしはすぐにエレベーターを降り、食堂へ直行した
なんせお腹がペコペコだったからね
一応メニューは昨日のうちに下調べしておいた
完璧だ
カツ丼食べる
『もう死にそー…』
食堂の入口まで来て、扉に手を掛ける
ガチャガチャガチャ
『…』
鍵閉まってる…
『嘘…』
よく見てみると、
今は営業時間ではなかった
そういう看板が提げてあったのだ
冗談抜きで窮地に立たされたー!!
あたしはその場にズルズルと座り込んだ
『…コンビニ…遠いもんなー…』
あと2時間くらい、我慢しようか…
いやいやいや、それは死ぬ
もうどうしろ言うんじゃー
「千晴じゃん、何してんだ?」
神の声が後ろから聞こえ、あたしはゆっくり振り返った
『涼…』
涼の手には、それはそれは美味しそうなハンバーガー
ちょ、匂いが…
あたしの胃袋に毒ですよ〜
「何だよその顔、欲しいの?」
涼がハンバーガーを指差したので、あたしは頭が取れんばかりの勢いで頷いた
それを見て涼は、プッと吹き出す
「素直だなー、うら食え」
涼は膝を折って床につき、あたしの口元にハンバーガーを差し出した